乳がんは、大部分は乳房内の乳腺という部分から発生するがんで、日本人女性のがん罹患率第1位となっており、罹患率は9人に1人の割合(全国がん登録による全国がん罹患データ:2017年)とも言われています。なかでも30~69歳の日本人女性の部位別にみたがんによる死亡原因の第1位が乳がんとなっています。発生の原因については、遺伝的要因、生活習慣、女性ホルモンなど様々な原因があるとされていますが、早期に発見し、治療に努めることができれば、予後は良いと言われています(ステージⅠであれば、5年生存率は9割以上)。乳がんは女性が最もかかりやすいがんですが、最も治りやすいがんのひとつでもあります。
できるだけ早く乳がんを見つけるには、しこりが触れるよりも前に気づくのも大切です。そのためには定期的な乳がん検診が有効です。
当院では最新、高性能のマンモグラフィー、エコー装置を導入し、乳がん検診を積極的に行います。また、乳がん検診のほか、乳がんの疑いがある場合は精密検査(細胞診、組織診)も実施しています。
検診方法
マンモグラフィ(乳腺X線撮影)
マンモグラフィ検査でしか分からない、淡い石灰化、微小円形石灰化など初期の乳腺異常を確認することができます。(妊娠の可能性がある方、ペースメーカーを入れられている方、授乳中の方、インプラント挿入後の方は検査前に申し出てください。)
日本の乳がん検診はマンモグラフィー精度管理委員会で管理されており、読影判定医師にはB以上の資格が、講師にはA以上の資格が求められています。
乳腺エコー
検査画像では、一般的に乳腺は白く、がんは黒く描出されます。検査時に痛みは無く、X線検査のように被曝をすることもないので体への負担がありません。そのため、妊娠中でも安心して検査を受けて頂けます。また、マンモグラフィで病変をみつけにくい高濃度乳腺の方でも、小さな腫瘤をみつけることができます。
- 乳腺エコーを特におすすめする方
- 授乳中、若い女性、高濃度乳腺の方、インプラント挿入中の方、乳がん術後の方
マンモグラフィとエコーの併用検診を推奨しています。
マンモグラフィは、唯一死亡率減少効果が証明されている乳がん検診方法です。
1年に1回はマンモグラフィー検診をうけましょう。
エコーは、初期の乳腺腫瘤をみつけることができ、マンモグラフィーと併用することで乳がんを乳がんとして拾い上げる確率が上昇することが分かっています。
ごく初期の病変については、マンモグラフィー、エコーそれぞれで見える病変が違っており、ともに補い合う検査法となっておりますので、当院では併用検診を推奨しています。
視触診
希望の方にのみ行います。 乳腺は皮膚から触れることができるので、皮膚のひきつれや発赤、ただれ、異常乳汁分泌、しこりの有無をチェックします。
- 検査で異常のあった方は、当院で細胞診、組織診という詳しい検査を行います。
MRI検査、手術が必要な方などは、必要に応じて関連病院へご紹介させて頂きます。
- がんの部位別に見た死亡原因(女性)
年齢 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 第1位 乳房 乳房 乳房 乳房 乳房 乳房 乳房 乳房 第2位 子宮頸部 子宮頸部 大腸 大腸 大腸 大腸 大腸 大腸 第3位 胃 大腸 子宮頸部 卵巣 卵巣 膵臓 肺 肺 国立がん研究センターがん情報サービス2017年